始まりはすぐそこ



拝啓 私の望む世界







My tyle






「おっす!!俺また同人誌かったんだぜ〜☆」





「うん。とりあえず・・・黙れこの腐男子がァァァ!!!!

“ばきっ”

と何とも痛々しい音が、朝のまだ人もまばらなこの教室に響き渡った。



ってぇ!!何すんだよ!!今ので何個俺の脳細胞が死んだと思ってんだ?!」

「アンタのその年中真ッピンクな脳細胞なんて死んでしまえ!!むしろ、もっと死ね!!

「失礼な奴だなぁ、オイ。俺の脳は将来世界のためになる脳なんだぜ?そんな脳が死んだら世界が悲しむだろうが!」

「悲しむわけねぇだろォォォォ!!逆に世界は喜ぶね。絶対

「何ィ?!俺は世界を救うために生まれた男だ!!そんな男の脳細胞が死んで、世界が喜ぶわきゃねーだろ!!」

バカですか?貴方バカですか?」


朝から大きな声で口喧嘩をしている少女と少年。

この二人は、専門用語で俗に言う、腐女子腐男子だ。



腐男子こと、少年の名前は 飛鳥 壱琉(アスカ イチル)。

腐女子こと、少女の名前は  



この物語の主人公たちである。


(もっとも、主人公なのはだけなのだが)











「大体、朝っぱらから同人本の会話をする奴が何処にいるのさ?!」

の目の前に存在してるだろ??」

「アンタは普通の人じゃねぇから、例外だ!!」

「まじかよ!」

「まじだよ!」


肩でハーハー息をして、は壱琉を睨み付けた。

それから、呆れたと言わんばかりに視線を逸らす。


壱琉はその行動を見て、「酷いさ!」と一言。

もう一度、は壱琉の頭を拳で殴りつけ、自席に着いた。



最後の一撃がよほど効いたらしく、壱琉はその場にしゃがみ込んでいる。

そんな壱琉を一瞥し、は自分に声をかけてきた友達の方へと顔を向けた。





「おっは〜、。今日も朝から旦那サマと痴話喧嘩ですかィ?」

「その総悟口調やめい。それから、壱琉が旦那?冗談キツイって。私の旦那はアレンくんなの!!もしくは、シロちゃんか修兵!!

「あっはっは。痛いよ


笑顔での発言をばっさり切り捨てる友達。

可愛い顔して、性格がエグイ。



「酷いよ・・・これでも本気なんだからさぁ〜」

「だから痛いって言ってんの。」


びしっと効果音が付きそうなくらいの勢いで、友達はの鼻先に指を突きつけた。

はその指を見、それから友達の顔を見た。

それを幾らか繰り返していると、友達はニヤリと不敵に笑うとの鼻先に突きつけていた指をそのまま壱琉の方へとスライドさせてゆく。


ワケが分からないと、もその指の動きに合わせて壱琉の姿を視界に入れた。




壱琉がどうしたと、友達に顔を向けると、友達は笑みを深くしてに言った。


「飛鳥くんのこと、どう思ってるの?」

「はぃ?どうって?」

「例えば、恋愛感情の好きとか・・・・・・」

「あはは。ないない。布いて言うなら、腐った男」

「・・・・・・アンタには、まだ恋バナは早かったわね」

ちょいまち!!失礼な!!私だってもう15歳ですよ?恋愛の1つや2つ、3つ4つ・・・したことあるもん!」

「何時だよ。ほら、言ってみ?」

「・・・小学校低学年の時と・・・幼稚園・・・」


非常に言い難そうそうには言う。


その頬はほんのり赤く染まっている。

友達は、そんなの様子をみて声を立てて笑った。



「あはっ、可愛いなぁは」

「どーでもいいけどよぉ、何時まで俺に指向けてるつもりだ?」

「「ほわっ!!!」」


突然の乱入者に酷く驚いた二人。

はすぐに原因である壱琉を見ると、文句を言った。


壱琉はそれを軽く受け流して、の頭に腕をのせる。



「やめい、鬱陶しい!!」

「マジで失礼だな・・・」



壱琉の腕をが振り払うと、壱琉はじとっとした瞳をに向けた。





「へんっ。それは悪うございました!」


べーっとが舌を出すと、壱琉は無造作にの頭を撫で――この場合、かき回すという表現の方が合っているが――た。

笑顔でやっているので、ふざけていることはすぐに分かる。

「ぎゃぁ、セットが乱れるぅぅ!!」

「ざまぁ味噌漬け!」

「言い回しが古いっ!」

「ほっとけ!」




バタバタと楽しそうに喧嘩している二人を微笑ましく、友達が見ていた。




































それが始まりだなんて誰も気が付かない